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うとしたが、現場本部は、隊員の疲労からくる事故防止のため七日〇時三五分、消火作業を中止させ下山させた。
翌朝、現場本部は火勢の状況が山頂に向かって延焼拡大している事を確認し、ヘリコプターの出動を要請するとともに、消防団員に第二出動(三分団)を指令した。交替した職・団員には前日と概ね同じ班編成を指示し、消火活動の継続を命ずるとともに、落石に伴う火源の散乱に起因して、県道脇まで延焼拡大していた火勢の鎮圧のため、別途一隊を編成して県道沿いに流れている河川に水利部署し、ホース七本を立木に結着し消火に努めた。昨日同様足場の悪い急峻な岩場をものともせず、各班とも果敢な消火活動を展開するとともに、防災ヘリコプターによる的確な空中消火が効を奏し、一六時二〇分頃には火勢も衰え延焼を阻止するに至った。
現場本部は状況を判断し、立木の伐採を命ずるとともに、ジェットシューターを使用し、樹幹火等の消火に全力を挙げたが、終日の消火作業で隊員が疲労しているため、一八時○○分消火作業を中止させ撤収を命じた。
翌八日、隊員の交替と同時に消火活動を開始、昨日に引続いて立木の伐採及び株等の残火処理に全力を傾注し、一二時三五分鎮火に至らしめた。
この火災の原因は、たばこの投げ捨てであり、出動人員は三五〇名、出動車両五二台であった。
四 教訓と今後の対策
一二月中に発生した八件の林野火災は、八・二haという広大な林野を灰にし、貴重な森林資源を焼失した火災である。この一連の出火原因は、入山者のたばこの投げ捨て、或いはたき火の不始末等によるものである。
(一)消火困難となった経緯
ア 連日の乾燥注意報発令下での火災であったこと。
イ 落葉樹等の堆積による地中火であったこと。
ウ 渓谷のため、急峻で岩場が多く足場が不安定であったこと。
エ 出動場所から現場までの距離が遠隔であったこと。
(二)今後の対策
ア 職・団員との連携による相互訓練の充実
イ 応援部隊及び交替要員の要請時機の判断
ウ 夜間の消火活動についての考え方と引上げの時機
エ 支援部隊の有効活用
以上、経緯及び反省点を踏まえて今後同種の火災を防止するため、または軽減するために各種防ぎょ活動及び消防力の充実を考えていきたい。
最後に、急峻で起伏の激しい林野火災では、ヘリコプターによる空中消火が最も有効であることを痛切に感じたところである。
(木村正雄)

 

救急・救助

水没車両からの救出
三沢市消防本部(青森)はじめに
三沢市は、本州の北端である青森県の東南部に位置し、東は太平洋に臨み、西は十和田八幡平国立公園を結ぶ八甲田連峰を仰ぎ、市街地西方に位置する小川原湖を中心とした東西一一?q、南北二五?q、面積約一二〇?q2の長方形の形をした市で、人口約四三、○○○人である。
消防体制は、一本部、一消防署、二分署、一出張所、職員一〇九名、消防団は一本団、一七分団が一丸となって防災の責務に当たっている。
また、当管内は三方を海・湖・河川で囲まれているため、水難事故等が増加の傾向にあり、ここに紹介する事例は、平成七年四月、三沢漁港内で発生した軽乗用車の海中への転落事故である。
一 事故発生日時等
(一)発生日時
平成七年四月一三日九時一五分頃
(二)発生場所
三沢市港町一丁目
三沢漁港第一市場前岸壁
(三)覚知時分
九時一七分(報知電話)
(四)覚知内容
「軽乗用車が海に落ちたもの。」

 

 

 

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